測量・登記手続 大川原哲也土地家屋調査士事務所

公図の信頼性について

 

境界の基礎資料である公図について
 公図が作成された沿革等は、既に「法的な境界とは」のページにて触れているが、その公図を扱う法務局の公図に対する見解はどういったものであろうか。先ず、過去の判例をしらべてみた。

 

 公図の性質については,各土地の「区割と地番を明らかにするために作成されたものであるから,面積の測定については必ずしも正確に現地の面積を反映しているとはいえないにしても,境界が直線であるか否か,あるいはいかなる線でどの方向に画されるかというような地形的なものは比較的正確なものということができる」(昭和49年6月24日東京地方裁判所判決・判例時報762号48ページ)とされ,また,「公図は,定量的にはそれほど信用することができないとしても,一般に公図より信頼性の高い資料がないときには,里道,水路,堤塘など官有地の位置や幅員を決定する場合,まず公図上の位置,幅員を測り,これを公図の縮尺で除して,官有地と隣接地との境界を定めるのが通例である」(平成8年1月30日神戸地方裁判所洲本支部判決・判例地方自治158号83ページ)とされている。

 

 要するに、法務局としては、公図に対しては定量的な精度は期待していないとしても、直線か曲線なのかや、右曲がりなのか左曲がりなのかなど、作成当時の地形を判別するものとして、重要視しているということである。現在一般公開されている公図の縮尺は1:600の比率のものが多いが、実務上この精度を検討する際には、これを電子スキャナで読み取って、公図上の縦方向、横方向、適宜数点の点間距離を計測し、現在の測量技術で測量した同じ点間の実測値とを比較して、縦方向に10%の伸び、横方向に5%縮みがある等を根拠として、実測図に示された境界線の捉え方に見解を示す場合があるとされている。

 

 公図以外に、信頼性のある資料ない地域の、境界線の現地特定においては、未だ明治6年から明治22年までに作成編集された図を根拠していることには留意しておく必要がある。

 

 


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